第5回
「マガジンチェンジはええですわぁ」

(2005年2月14日)


 サバイバルゲームでもリアルなマガジンチェンジがしたい!この切なる気持ちが、弾倉制限なる規制を産み出した!

 と書けば、まったくその通りで二の句が継げないのだが、もうちっと突っ込んだ話もしてみよう。

 弾倉制限というのは、具体的に言うと、多弾装マガジンを禁止して、強制給弾式のノーマルマガジンのみの使用を認める規定である。多弾装マガジンが1本で200〜600発の装弾数を誇るのに対して、ノーマルマガジンは50〜70発とヒトケタ少ない弾数しかない。単純比較しただけでも、多弾装マガジンの方が有利である。しかも仮に300発弾数で弾数制限していても、ノーマルなら数本要るところが多弾なら1本程度だから、装備軽減、経費節約の観点からも有利である。

 その様な訳で、我が隊でも当初は多弾マガジンオンパレードであった。全部撃ちきる様な事はあまりなかったと思うが、ある程度の本数がないと、装具がスカスカでみっともない事もあり、だいたい一人、2〜3本は持っていたんでは無いだろうか。

 そんな中で、弾倉制限を思いついたのは、ただの偶然に過ぎなかった。当時筆者はMP5SD6を使っていたが、MP5の多弾マガジンの装弾数は200発で派手に撃つから弾倉交換の機会も多かった。それで戦闘間に弾倉交換する魅力に目覚めたのである。そうなると話しは早い訳で、戦闘間に頻繁に弾倉交換をしたいと思えば、弾倉を全部ノーマルにしてしまえば良いのである。

 この多弾マガジンからノーマルマガジンへの移行期は、実は弾数無制限から弾数制限への移行期と同じ時期で、1ゲームの弾数200発になると同時に、マガジン1本の弾数は50発にする事となり、1ゲームでの弾倉数は都合4本、という事が最終的に決まったのである。

 ところで、なんで1本50発なのか。例えば、M16の弾倉は1本68発入るのである。結論からいうと、MP5の弾倉は50発しか入らず、弾倉制限が始まった当時の我が隊は、M16系、MP5系が混在して使われていたので、最小の装弾数に合わせたまでの事なのである。実は、1本30発にすべきだ、という事でわざわざマガジンの中にBB弾を詰めて上げ底にして、30発しか入らない様にした者もいたが、予想通り「あっという間になくなる」という事で、実銃はともかく、サバゲーなんで20発おまけする事となったのだった。

 弾倉交換のアクションが戦闘に盛り込まれる様になったのは良いのだが、それでもエアガンというのは、ゲーセンのバイオハザードの鉄砲なみに撃ち続けれるもんだ、という考えの人もおらん訳ではない。そういう人は、頭で弾倉交換がリアルな戦闘であると判っていても、体の方はそうなってないから、どうしても弾倉交換がモタモタして、それでやられたりする。

 そこで、素早く確実な弾倉交換の要領が決められ(弾倉は下向き、逆「く」の字に弾嚢に入れる)、手元を見なくても交換が出来る様に訓練する様になった。クラフトフェルトで戦闘訓練が始まったのは、実はこうした現場の要求(本人が求めたわけじゃなくて、隊が隊員に求めた)があったからである。

 さて、最近では過度の弾数制限の弊害が指摘される様になって、1ゲーム200発といたスパルタンな規制は緩和される事になった。それでも、この弾倉制限そのものは撤廃するつもりにはさらさらならなかった。要するに、弾数を増やすなら弾倉そのものを増やせばいい訳で、当初4本だったものが6本に増加され、さらには10本まで携行可となった。

 つまるところ、リアルでテクニカルな要素は、レギュレーションとかルールとは異なる、サバイバルゲームの別の要素、という事に気がついたこの頃である。