段ボール戦車

 段ボール戦車とは、書いて字の如く、段ボールで出来た戦車の事です。もっとも、戦車と言ってもエンジンを搭載している訳ではなく、段ボールの箱の中に人間が入って、二本の足で移動する他愛のない代物です。この一見アホな段ボール箱、「段ボールを貫通しなければ、中の兵隊はヒットにならない」というルールが付加されると、途端に恐るべき存在になります。その恐るべき段ボール戦車は、手賀沼条約機構(TPO)主催の二四時間戦にのみ投入され、毎年、恐怖をまき散らし、伝説を生んでいるのです。



マリーンのパーティーに乱入する
米国製段ボール戦車
デザイン的にはTPO製を数段上回っている


段ボール戦車の特徴

<有効性>

 段ボール戦車の有効性の最たるものは、防御力であると言えます。段ボールが2枚重ねになっていれば、まずエアガンでは撃ち抜けません。有効な対戦車兵器がない以上、戦車が来たら逃げる他ない訳で、その意味で無敵です。この特徴は、段ボール戦車が様々な欠点を持ちながらも、それらを帳消しにしてしまう有効性であると言えます。


<欠点>

 段ボール戦車の欠点の一つ目は、人力である、という事です。兵隊一人が段ボール箱を被り、段ボール箱を被ったまま移動し、そして段ボール箱の中で兵器を操作せねばなりません。従って扱える兵器はエアガン程度です。敵軍が段ボール戦車を投入してきても、戦車戦でこれを撃破するのは難しいのが現状です。
 二つ目は、足下が危ないと移動に支障が出る、という事です。段ボール戦車は人間が二本の足で動かす訳ですが、箱を被っているだけあって足下がよく見えず、デコボコがあったり障害物があると前進できません。
 三つ目は、視界が悪い、という事です。視界が悪いという事は、敵がどこにいるか発見しにくく、仮に発見しても狙撃しにくい、という事です。これは戦車の構造にも問題があるのですが、この問題をクリアしたチームは今のところありません。つまり、段ボール戦車は防御力は強力ですが、意外にも攻撃力は弱い、という事です。

TPO歴代戦車

ここに紹介する戦車は、二四時間戦に登場した戦車です
名称は不明の物は勝手に命名しています

<ティーゲル>(2000年、シュヴァルツ!)

 TPO初の段ボール戦車。アルミサッシのフレームで多角的な箱形を作っている。バンドを肩に吊って車体を移動させた。武装は機関銃1丁だったものの、歩兵相手の戦闘には遺憾なく威力を発揮した。同形型が3両作られて、組織的に運用された最初の例となった。また1両が敵に奪われて段ボール戦車同士の戦闘となったが、搭載兵器の機関銃では決着がつかず、片方が破壊されるまで体当たり戦を繰り返した。この戦例から、人力の段ボール戦車では戦車戦は難しい事がはっきりした。

<M1ダストボックス>(2001年、フィールドランナー)

 多角的に組んだフレームの上から段ボールを切り出して貼り付ける工法をとった戦車。その形状から命名される。車体が低く、被弾しにくいデザインを採ったが、その代わりしゃがんだ姿勢で乗り込まねばならず、移動に支障をきたした様である。戦車というよりは、移動トーチカとして活躍した。

<一式軽戦車>(2001年、クラフトフェルト)

 M1ダストボックスの余った段ボールで現地急造した戦車。ただの段ボール箱の組み合わせであるが、軽量で操作しやすく、機動性抜群の戦車だった。武装は小銃1丁であったが、敵陣に突入して敵兵を駆逐し活躍した。陣地攻撃に初めて勝つようされた戦車で、その戦訓がクラフトフェルトの戦車戦術の基礎となっている。

<二式軽戦車>(2002年、クラフトフェルト)

 上記の一式軽戦車のデザインを踏襲し、段ボールをボンドで接着した強化版。建造当初は塩ビ管を組んだフレームで車体を保持したが、あまりにも重く機動性が悪かったのと、車載銃がフレームに固定されていたため射撃が良好ではなかった。堅牢に作られただけあって、現在でもトーチカとして使われている。

<ドミンゲスタンク>(2002年、ジルヴァヴォルフ)

 大戦終了後、破壊された車体しか見ていないので詳細は不明。フレームにアルミかスチールのパイプを使い、しかもそのパイプを曲げるなど芸の達者なところが伺える。車体正面よりも側面の方が弾痕が多い事から、道路に横向きに止めてトーチカとして使用したのかもしれない。

<もっちーハウス>(2005年、DHC)

 こちらも現地急造の戦車。戦車というより家。どんな豪雪地帯でも乗り切れそうな屋根をしている。車体保持に大きな杉の枝を使うなど、徹底して現地調達の素材で作られている。しかも、敵兵を完全撃滅し大戦勝利に貢献した。現実の兵器にも言えるが、見た目よりも性能、という原理を体現した戦車だった。

戦車戦術について

 段ボール戦車は、武装がエアガンだけだったり、乗員が1名だけ(つまり、動かすのも撃つのも一人でやらねばならない忙しさ)という事もあって、あまり色んな事は出来ません。はっきり言えば、目標に向かってのしのし歩くので精一杯です。敵の戦車が出てきても、エアガンしか搭載しておらず、またペットボトルロケット砲などを搭載するのが難しい事もあって、戦車で戦車を撃破する事は困難です。

 そこでクラフトフェルトが考えた戦車の使い道を紹介します。


<その1:戦車だけ突進>

 陣地(防壁)に向かって戦車だけ突進させます。当然、敵陣からは猛烈な射撃が来ると思いますが、戦車だけに屁でもありません。そのまま防壁に突撃し、防壁を押し倒して敵陣に乱入します。

 ポイントは、敵陣に乱入するまでは応射しない事です。突撃時は歩くので精一杯で、どんなに撃っても敵には当たりませんし、モタモタしてると敵が対戦車兵器を用意してしまうかもしれないからです。敵陣に乗り込んだら、至近距離の敵をメタクソに射撃しましょう。
 この場合、歩兵は戦車が防壁を突破するまで自陣から戦車を援護射撃し、戦車が敵陣に突入したら、すぐさま歩兵も敵陣に突入し、敵兵を蹂躙します。


<その2:随伴歩兵を付けて>

 敵陣から対戦車兵器による攻撃が予想される場合、あるいは防壁が結構堅牢に出来てそうな場合は、道路に対戦車障害が設けられている場合などは、戦車に歩兵を随伴させる必要があります。もっとも、戦車といってもそう大きい物ではないので、せいぜい1人か2人くらいしか隠れられません。残っている兵隊は、自陣から猛烈に援護射撃を行います。
 敵陣に接近したら、随伴歩兵は敵防壁を解体して、戦車を突入させます。その後、歩兵も敵陣に乱入し、援護の兵隊も急行して一気に敵陣を占領します。


もどります