徒手教練

 「徒手」というのは、兵器や装具を帯びない状態を指します。不動の姿勢、挙手の礼、方向転換など、軍人らしい動作の基本は徒手教練で身につけます。

基本動作
 「不動の姿勢」というのは、一般には「直立不動」と呼ばれる姿勢で、軍人として最も基本的な姿勢です。「気を付け」の号令で一斉にとります。

 要領は、「気を付け」の号令が掛かったら、

  • 踵を合わせ、足を45度に開く。
  • 胸を張り、あごを引いて、視線を受礼者に向ける。
  • 腕は自然に下ろし、手は親指を出して自然に軽く握る。

を一挙動で行います。


 「休め」の号令で、足を肩幅の広さに開き、手は背中に回して腰で組みます。この時、手は右手が左手の上に来る様にします。

 休めの姿勢は厳密には休んだ姿勢ではありません。訓話は状況説明が長くなる時は、指揮官が「楽にしてよろしい」と声を掛けます。この時は、立ったまま楽な姿勢を各自取ります。

方向転換

 「方向転換」は軸足を中心に体の向きを変える要領です。クラフトフェルトでは「右向け右」「左向け左」「回れ右」を行っています。方向転換を行うのは、横列に整列している状態から、縦列に整列しなおす場合が多く、体がふらつかない様、しっかり練習します。


 「右向け右」「左向け左」は、足のつま先と踵を軸にして一気に回る方向転換の要領です。例として「右向け右」の要領を説明すると、以下の通りです。(「左向け左」は逆の要領)
  1. 号令と同時に、右足は踵、左足はつま先を軸として、一気に右に90度、体を回す。
  2. 体が反転したら、左足を前に引いて、踵を揃えて不動の姿勢を取る。

踵とつま先を軸にする時、逆の踵とつま先は軽く地面から浮かすと回転がし易いです。また、体を反転させる時、顔は正面を向いたまま、先に反転する方向に向けない事。ただし、反転する方向に体を向けようと意識しないと、中途半端な位置で体が止まってしまうので、注意して行う事が肝心です。


 「回れ右」は体を180度回転させる方向転換の要領です。
  1. 右足を半歩下げ、右足のつま先と左足のつま先を軸に、一気に体を回転させる。
  2. 左足を前に引き、踵を合わせて不動の姿勢を取る。

右足を下げる際、左足の踵の後ろに右足のつま先が来る様に注意する。そうでないと180度回転する事が出来ません。また、体を反転させる際は、体がふらつかない事と、きっちり180度回れる様に注意します。

挙手の礼

 「挙手の礼」は最も基本的な敬礼で、徒手の他に、執銃時でも「下げ銃」や「吊れ銃」で行います。

 動作の要領は、号令で瞬時に挙手し、手首と指を伸ばして手はやや前に倒し気味にし、指先を帽のつばに沿える。肘の角度は45度とし、上腕は水平とする。動作は俊敏に行い、ダラダラしない事。

 敬礼は、下級者が先に上級者に対して敬礼し、それを受けて上級者が返礼し、上級者が手を下ろしてから下級者が手を下ろす、という順序で行います。また、「敬礼」の号令が掛かってから、「直れ」の号令が掛かるまで、挙手を続けなければなりません。
 ただし、戦闘間は敬礼は省略する事となっています。